2011年8月17日水曜日

AOLの電子書籍【Editions】にみる日米電子書籍温度差



AOLが電子ペーパーとしてiPadアプリを今月頭に発表しました。
Editions(US iTunesリンク)はFlipboardやPulseのように各種ニュースからの読書体験を変えるアプリです。
基本的にFlipboardのようにニュースフィードのサムネイル化を行い、雑誌のような可読性とWebの閲覧性を融合したものです。
FacebookやTwitterへの共有やスケジュール、天気などがトップページに出たりと閲覧者の個人誌的なものになっています。
特に秀逸なのは毎日定時に一冊の雑誌的にまとまって配信されるところです。
日刊紙としての体験が重要視され、リアルタイム性よりも優先されたため朝、朝刊を読むみたいな感じで読むことができます。
オフラインでの閲覧ができるように届いたときにキャッシュに入るのも優れていると思います。
Flipboardなどの読書体験を変える電子ペーパーの後発として面白い試みと思います。


ただ、USのニュース誌などからなので残念ながら日本語なものはないですし、フィードなどFlipboardのように個人購読のものを反映できません。
これらは開発や市場がUS向けというだけでなく、日本で同様のことができない背景もあると思います。
実際、日本で同様の読書体験をというものは出てきていません。
これは日本の報道メディアは10年以上前のシステムをそのまま踏襲した静的ページ作りをして知識として共有するためのメディア作りを行って来てないからです。
このため内容の濃い、ネットメディアが育たずにフィード・ソーシャル融合などの仕組みなどから外れた広告レベルの形の報道メディアしかネット上には生まれなくなってしまっています。
読書体験を求めるための市場の要求があっても、Webでは存在せず、識者は有料メルマガという10年前に戻ったコミュニケーションに先祖返りしようとしています。

電子出版の利権の構造もありますが、そもそもネットメディアが報道メディア層、一般層で産業化されずに進んだため外的要因のみで突貫工事的なみせかけのネットになってしまったのがそもそもの原因です。
各種電子化、ネット化の流れは確実に他国と温度差を日本は今後も出していくのかなとここ数年の各種動きを見て感じています。