2011年2月6日日曜日

ソーシャルメディアの入門書となるか

ソーシャルメディア革命 (ディスカヴァー携書)
ソーシャルメディア革命 (ディスカヴァー携書)立入 勝義

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2011-01-21
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以前、無料献本ということで紹介されていた「ソーシャルメディア革命」ですが、読む時間をとれずに積んでいたのをとにかく読みました。
電子書籍はわりと個人的には親和性が高く、非常に読みやすくてテンポよく読めるので読むと一気に読めます。
ということで、本書は題名のとおり、ソーシャルメディアについてアメリカ在住の著者の視点から書かれた本です。
ですが、読んだ感想から言うとソーシャルメディアの入門書というよりは、ソーシャル化、グローバル化をインターネットによって加速された時代における、日本の国民性の指摘の色が強いです。

ソーシャルメディアを紐解くとやはりTwitterを外すことができず、そこから始まり、Facebookに行き着くというのが大枠の流れと思います。
本書はその流れよりも、まずメディアの定義と特徴を既存メディアと対比させ、マネタイズとしてのブログの成功者へと導いています。
そのため、どうしても定義的な入り口になり、初めての人はそのわからない世界に入りにく印象はありました。
そしてソーシャルメディアと対する既存メディア色の強い日本の国民性や社会状況を指摘し、その困難さをとくことに紙面の半分以上を割いて説明しています。

個人的にはこの指摘は至極まっとうであり、的を射ているなあと感心してますが、なかなかネットに慣れてない人には反発感があるのかもという感じはしました。
ネットに親しんでる方の中にもなかなか理解しにくい面があるのかどうなのか、この反応に関しては興味があります。
この指摘を自覚できる方が大半であれば、この国は変わるのかなあという気すらします。

発信者というキーワードに偏ってしまったためか、ソーシャルメディアを語る上で抜けてるものとしてクラウドやモバイルが触り程度しかなかったのが気になりました。
これらの融合により、VC出資の動きで今の北米のIT大国が成り立っているのですが、紙面的にそこまで追求できなかったのは残念です。
入門としてはちょっと定義や特色をあまりにも全面に出しすぎてしまったためなかなか難しいという印象もあり、むしろ、ギーク層の世界視点的な一冊という感じがしました。


電子書籍としての感想ですが、データを幾つか出していますがどうしても別ページに体裁がWebや書籍向けなため、なかなか見づらいと思います。
これはフォーマットの限界なのですが、データやハイパーリンクは電子書籍の優位点なので文章の体裁を考えるか、システム・フォーマットを再検討すべきかもしれません。